元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「ちょっと麗華、戯れてる場合じゃないんだけど?」
眉を寄せながら翔哉が言う。
別に戯れてるワケじゃないけど。
仁をいじめてるんだけどね。
…いいストレス発散だわ。
丈夫な仁に感謝しなきゃね。
なんてことを思いながら、翔哉に返事をする。
「分かってるわよ?」
「本当に?」
「しつこいわね。…見ればわかるでしょ」
ギロ、と翔哉を睨む。
双子の服を見ればわかるわよ。
嫌でも視界に入る、返り血。
鼻を劈く鉄のようなにおい。
それらが全部、
―――「…どうやら集まってきたみたいだぜ?」
修哉がニヒルに笑う。
「ええ、そうね。」
「随分多く集まったみたいだけど。」
「腕がなるな。俺、麗華の護衛するわ〜」
「必要ないわ。自分の身は自分で守れるもの」
「えー?」
「早く準備しなさいよ。」