元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
馬鹿な男達は気付かない。
あたし達の瞳に、密かな殺気が宿った事に。
未だに笑い続ける男達。
耳障りなその声に、あたしの中のひとつの線が切れた。
プツ、プツ、と。
聴こえるはずもない線の切れる音。
ああ、あと何本かしら。
あたしの中の線が全て切れるまで、何本?
それは、自分でも分からない。
……いつ暴走してしまうか、わからない。
だから、その前に。
「…始めましょう?」
あたしを止められるかしら、ね。
「”姫”の仰せのままに。」
仁がそう言えば、それは合図。
―――地獄のスタートだッ
(あたしの中の”誰か”が、無邪気に笑った)