元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「………っそ、んな、今さら…っ」
めぐるが顔を俯かせる。
その声は、震えていて。
―――怯えているようにも、聞こえた。
「わた、し、は……っ」
ヒューヒューと。
めぐるの息が、荒くなる。
「っもう、戻れない…!」
「え…?」
―――戻れない?
ねぇ、
それ、
どういう意味?
私は目を見開く。
「”あの事件”があったからには、もう戻れないの………っ!」
「………っ!?」
苦しげに、ひとつひとつ言葉を零していくめぐる。
「どうして、あの事件を―――」
めぐるが、知っているの?
”あの事件”は、来龍の内部にしか知られていない