元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「…あたしとめぐるが出会ったのは、アンタを追い出す2ヶ月ぐらい前でぇ…、」
ポツリ、ポツリと話し出す麻里奈ちゃんの言葉に耳を傾ける。
「情報を集めてぇ、めぐるがアンタを憎んでることを知ったの」
偶然なんかじゃなく、わざと、と。
笑いながら言った。
憎んでる…
知ってる。
分かってるよ。
だけど、他人の口から聞くのは、余計辛い。
ギュッ、と手を握り締める。
「それでねぇ?アンタを追い出すには、人材がいると思ってね。……黒須に頼んだの」
「、くろ、す…」
聞いたことのない名前。
”黒須”と言う名前を、尋ねるように復唱する。
「…えぇ?アンタ知らないのぉ?」
麻里奈ちゃんは怪訝そうに眉を寄せる。
「知らない、よ…」
「…へぇ。通りでねぇ…。…ま、いいわ。黒須ってのがなんなのかぁ、教えてあげるぅ」