元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「……」



「黒須はねぇ?”牙”の総長なの。」




「牙の、総長…?」



「ああ、アンタ、牙も知らないんだっけぇ?」





クスクスと、辺りに麻里奈ちゃんの嘲笑が響く。



馬鹿にするような笑い声。





「なぁんにも知らないもんねぇ?やっぱり、来龍の姫なんて相応しくなかったわねぇ」




「……っ」





その言葉に、唇を噛み締める。




悔しい。



でも、本当の事だから何も言えない。




私は…何も知らない。
来龍の事を、知ったようでほんとは知らないから。





知っていたら、みんなの事を理解していたら、




少しでも力になれたかもしれない。



今さらもう、遅いけど…





「黒須…というかぁ、牙は本当に良くやってくれたわぁ。」




ドクン、ドクン、



鼓動が早くなる。




嫌な汗が流れる。





”黒須”という人


”牙”というのは…、







「…っめぐるが言った3人目は、牙のことなの…っ?」






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