元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「…そうよぉ?牙が来龍襲撃をしたの」
苦労したわぁ、と。
なんでもないように話す麻里奈ちゃんに、背筋が凍る。
「めぐるとあたしはぁ、計画。牙は実行。お互い、アンタを追い出すのが目的だったものぉ。」
「どう、して…っ」
麻里奈ちゃんは、来龍の姫でしょう?
なのに、どうして。
「なんでっ、みんなを危険な目に合わせるようなことをしたのっ?」
「…そんなの愚問じゃない」
「っ」
低くなった声に、ビクリと跳ね上がる。
そんな私の様子を楽しむように、麻里奈ちゃんは笑った。
「めぐるもあたしも牙もぉ。アンタを追い出したかっただけぇ。そうでしょお?」
それ以外、何の理由があるの、と。
「アンタを追い出す為ならぁ、多少の犠牲だってはらうわ」
そう言いながら増悪の篭った瞳で私を見る麻里奈ちゃんが、
どうしようもなく、怖かった。