元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「…そうよぉ?牙が来龍襲撃をしたの」




苦労したわぁ、と。



なんでもないように話す麻里奈ちゃんに、背筋が凍る。




「めぐるとあたしはぁ、計画。牙は実行。お互い、アンタを追い出すのが目的だったものぉ。」




「どう、して…っ」





麻里奈ちゃんは、来龍の姫でしょう?



なのに、どうして。




「なんでっ、みんなを危険な目に合わせるようなことをしたのっ?」







「…そんなの愚問じゃない」





「っ」







低くなった声に、ビクリと跳ね上がる。




そんな私の様子を楽しむように、麻里奈ちゃんは笑った。





「めぐるもあたしも牙もぉ。アンタを追い出したかっただけぇ。そうでしょお?」





それ以外、何の理由があるの、と。





「アンタを追い出す為ならぁ、多少の犠牲だってはらうわ」





そう言いながら増悪の篭った瞳で私を見る麻里奈ちゃんが、



どうしようもなく、怖かった。





< 294 / 355 >

この作品をシェア

pagetop