元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「……あの事件の時、みんなは混乱に陥っていた。更に追い討ちをかけるように姫の裏切り」
あの日の事を、言葉にして零す。
少しづつ、思い出しながら。
「来龍襲撃で、沢山の来龍の関係者が犠牲になった。…みんなは優しい。仲間が傷付けられて、焦らないわけが無い」
あの時のみんなは、相当混乱していた。
正常な判断ができないぐらい、冷静が保たれていなかった。
そんな状況の中で姫であり、守る存在である麻里奈ちゃんがいじめられていると聞いた。
混乱している中で、裏切り者だと疑われた私の言葉なんて誰も信じてくれなかった。
全校生徒の憧れである来龍。
悪事は働かず、治安を守ってくれる暴走族。
信頼が大きければ大きいほど、失望したときの批判は大きい。
"安全な最強暴走族"
そう言われていた来龍が襲撃されたと知ったらきっと、
全校生徒は不安になり、来龍への信用を無くす。
例えそれが、憧れの存在であろうとも。