元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
私の瞳から零れ落ちた涙が、一粒一粒と頬を濡らしていく。
「……………欲しいものは欲しい。それがあたしにとって、愛される事だった」
「………」
小さな声で話し出す麻里奈ちゃんを黙って見る。
「愛される度に大事にされてるんだ、あたしは必要な人間なんだって実感できた」
「……うん」
麻里奈ちゃんにとって愛される事は大事にされてる事だったんだろうね。
頷く私を見て、麻里奈ちゃんは言葉を紡ぐ。
「愛されないあたしなんて価値のない人間じゃない…っ」
麻里奈ちゃんが両手で顔を覆う。
嗚咽混じりに呟く声は、震えている。
そんな弱気なこと言ったら、
「……そんな悲しいこと言わないでよっ…」
私だって、悲しくなるよ。