元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「何でそんなこと言うの…っ」
「愛されるアンタには分かんないわよ!!」
麻里奈ちゃんはどうして、
周りを見ようとしないの?
「麻里奈ちゃんの周りにはちゃんと、愛してくれる人が居るでしょ…?」
私がそう言うと、
「……っう、違う!愛されてるのはあたしじゃない!分かってるの!来龍の姫になったのだって、来龍を騙して入ったのよ!」
「え…?」
麻里奈ちゃんは首を振る。
自傷気味に何度も何度も、
否定する。
その言葉が理解出来ず、突っ立っている私の耳に懐かしい声が聴こえた。
「……知ってる」
「れ、ん………」
他の人とは違う何かオーラを纏って現れたのは、来龍の総長で。
私が一番会えない、気まずい人だった。