元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「なんでここに…っ」
「…倉庫の中から声が聞こえてた」
「…、そ、う…」
久しぶりに話すからなのか、言葉がツギハギになる。
黙った私の後に、麻里奈ちゃんが喋る。
「蓮…っ?今の、聞いて…っ」
「聞いてた。知ってるって、言っただろ?」
「……っ」
麻里奈ちゃんは驚愕を顔に浮かべる。
蓮は静かに、冷静に、口を開いた。
「……麻里奈、俺はな、騙されてたんじゃない」
「…え?」
じゃあなんで、と麻里奈ちゃんの口から漏れる。
蓮は麻里奈ちゃんの瞳をしっかりと見捉え。
そして言った。
「麻里奈、お前はな、俺達に接触してきた時悲しい顔をしてた」
「そんなはず…っ」
「ああ…、確かに表情は笑顔だった。…だけど、そのもっと奥深いところで、お前は泣いてた」