元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
泣いている麻里奈ちゃんは、なんだか小さく見えた。
「………桜」
「っ、」
蓮に急に名前を呼ばれ、肩が揺れる。
低くて心地良いその声が、私は好きだった。
もう、名前も呼んでもらえないのだと思ってたから…。
「……黒須に全部吐かせた。…悪かった、信じてやれなくて」
「…ううん」
蓮の言葉に首を左右に振る。
もう、いいの、と。
分かってくれたなら、もういいよ。
私はみんなを、来龍を、恨んでたワケじゃない。
信じてくれなかった時は、辛くて、苦しくて、悲しかったけど。
裏切り者としてみんなを守れて、そして…
「……誤解が解けて、良かったよ…」