元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「…っ桜、」




ああ、なんだか泣けてきちゃうな。




なんでだろう。







「…もう、…お別れ、かなあ…?」





自分でそう言えば、鼻の奥がツンとする。





泣いちゃダメ。





麻里奈ちゃんには来龍が居なきゃダメなんだ。



私には、麗華がいる。





だから、だから―――







「…さよなら、する?」







―――ねえ、蓮。どうか、




自分からキッパリとみんなを突き放せないことを、許してね。




泣きそうになりながら笑う。




なのに。





「桜っ!」




「…っ」





なんで、なんで…




今さら、呼び止めるの?






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