元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー





そう言った蓮にまた、涙が溢れそうになる。



今度は私が話す番だと、口を開く。





「私っ、みんなに同情でもなんでもいいからあの時、否定して欲しかったの」




「……あぁ」




「裏切り者だって自分で言った時、辛くて切なくて…っ誰も否定してくれないのが悲しかったのっ」





「……」





「私っ、私、裏切ってなんかない…!麻里奈ちゃんをいじめてなんかないよ……っ」




「……ああ。知ってるよ、全部」








ずっと、誰かに信じてもらいたかった。




裏切り者だなんて言われたのはもしかして冗談で、



明日になればみんなまた、笑いかけてくれるのかもしれない。




そう、密かな願い事をしてた。






みんなの隣にまた居られるかもしれない。私の居場所が帰ってくるかもしれない。




理想を描く度に胸が締め付けられるように痛くて。




叶わないって思いながらずっと、ずっと、



私、みんなを信じてた。








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