元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
そっと抱き締めてくれる蓮の体温は温かい。
私は蓮の肩に顔を埋めて何度も泣いた。
「…麻里奈ちゃんと自動販売機の前で衝突した時ね…っもう、ダメなんだって改めて感じて辛かった」
吐いてこなかった弱音を吐いて。
「みんなに辛く当たられて、私っ、心が押し潰されそうになった…っ」
こんなに泣いたのは何時ぶりだろう。
今までの思いが全部、涙に変換されていく。
「姫とかそんな肩書きは要らないから…っただ、みんなと一緒に居たかったの…」
私にとって姫という肩書きは、みんなと一緒に居られる理由だった。
居場所ができたことが嬉しくて嬉しくて。
いつかこの幸せが無くなってしまうんじゃないかって程、幸せだった。
だから、裏切り者だと言われた時はとてつもない衝撃を受けた。
もう立ち直れないとも思った。
それでも踏ん張って、ここまで耐えてこれたのは、麗華が居てくれたから。
「私は、麗華も来龍も大事なの…っ」
欲張りだって思われてもいい。