元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




何の為に私は裏切り者になったの?



何の為に私は、裏切り者だと嘘をついたの?




全部、全部。





ただみんなに笑って欲しかった。





私の事なんて忘れて、幸せになってくれたらそれで良かった。





きっと聞く人は皆、私の事を綺麗事だと言うのだろう。




だけど、綺麗事の何がいけないの?




大事で大切な人達に、



笑って欲しい、幸せになって欲しい、



そう望むのはいけないことなの?






「幸せになってくれたら、私…みんなのこと、ちゃんと突き放すよ。誰の記憶にも残らないよう、消え去るから…」





そして、麗華が傍に居てくれたら。





私の唯一。




私の親友。





それだけで私は、増悪の視線にも耐えられる。







「だから、幸せになってね、蓮」







私はそう言って笑い、蓮の胸を押し返した。






「…っ桜っ、」



「ばいばい、蓮」







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