元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「桜…っ!?」
「桜っ、待ってよ桜!私、まだ桜に伝えてない…!!」
背を向けた私に、二人の声がぶつかる。
蓮と―――、めぐる?
「二人とも……っ、ごめんね…ばいばい」
弱虫な私でごめんなさい。
蓮にも、めぐるにも。
背を背けた。
蓮は真実を明かしてくれたのに、最後まで逃げて。
めぐるとは打ち解けれないまま、私はまた逃げ出して。
私、逃げてばかり。
だけど逃げることしか出来ないから。
「さ、くら……っ」
「戻ってよ!お願いっ、戻ってよ桜っっ!」
二人の声から、逃げて、逃げて。
私は走った。
「…っはぁっ、…はっ、」
真実から目を背けて。
嘘に塗れたままで。
だから、
「桜……っ?なんで…っ」
「桜っ、桜!」
二人の悲痛な泣き声さえも、聞こえない振りをした。