元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「…あたしがね。桜を大事に思っているのは、本当よ」
「…うん」
麗華がさっきの続きを言わず、別の言葉を紡いだ。
知ってる。
麗華が私を大事に思ってくれている事、知ってるんだよ。
ずっと傍に居てくれて。
私の隣に居るということは、私に向けられるたくさんの増悪の視線を一緒に受けることになるのに。
それでも変わらず傍に居てくれるのは麗華だけ。
大事に思ってくれていること、すぐ分かるから。
「麗華が私を大事に思ってくれている分、私も麗華が大事なの。だから、傷ついて欲しくない」
「それはーっ…」
「大事な存在があるなら、分かるでしょ?…大事な人に傷ついて欲しくない。私も同じ気持ちなんだよ」