元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「そうよ...桜の言う通りよ!!あたしだって桜が傷付くのは嫌よ...っ」
「麗華、私は大丈夫だから」
「っ大丈夫なんかじゃないくせに!!どうして全部一人で背負おうとするのよっ!」
顔を歪め必死に叫ぶ麗華に胸が締めつけられる感覚がする。
体の奥底から、這い上がってくるようなこの、渦巻いた感情。
何もかもが、灰色に見えた気がした。
やめて。やめてよ。
お願い、
「もう何も言わないで...!」
私、これ以上誰かを傷付けるのは嫌だよ。
「放って置いて...っ......」
巻き込まないために、私は自ら麗華を突き放した。
縋ったのは私なのに。
私が、突き放した。
「......さく、ら...?」
どうして、と。
何度も何度もそう震える声で繰り返し呟く。