元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
麗華が私に手を伸ばす。
「...っ」
私はそれを、振り払った。
零れ落ちそうな涙を堪えながら。
泣くな、泣くな。
泣いちゃダメ。
守るためには、こうするしかないから。
私は弱い。
それは言い訳なのかもしれない。
それでも、
大切な人を守るための術を、私は知らないから。
突き放すことでしか、大切な人を守れないんだ。
「さくら、桜...っ」
私の名を呼ぶ声が、蓮やめぐると重なって。
余計、胸が苦しくなった。
ズシン、と。
胸の奥で何かを落とされたような、そんな感じがした。