元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー





「桜...?」



不安そうに麗華の瞳がゆらゆらと揺れる。



......守る、というのは。



私のエゴかもしれない。




麗華という大切な存在を守ることで、私の存在価値を見出しているのかもしれない。




何もできないで、ただ守られてることしか知らなくて、人を傷つけるばかりで、


そんな私に、存在価値なんてないから。







『何も知らないことほど残酷な事はない』








誰かがそう言った。







私もそう思う。





だって、実際何も知らなかった私はただみんなを巻き込んで裏切っただけ。




私を裏切り者だと称した来龍を麗華は憎んだ。私の為に、離れろ、と。私を守ってくれた。



それでも尚、来龍を信じた私は、......麗華までも、裏切ってしまったことになるのかな。






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