元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
渉の視線が僕へと移る。
「……この男は、篠原に任せる」
下を向いたまま言葉を紡ぐ。
……渉も、適切な判断ができたようだ。
「篠原、任せたよ」
「は、はいっ!」
声をかける僕に、篠原が大きな声で応える。
僕らは、倉庫の外で何があったのか、
この目でちゃんと確かめなければいけない。
「…行くよ、」
そう一言告げ、先に倉庫の外へと歩き出す。
後ろから渉達がついてくる。
…蓮は、大丈夫、かな…。
「…蓮?」
倉庫を出て数歩歩いた所に、蓮が立ち竦んでいた。
「……っあ、きら…」
「っ、」
泣き崩れる麻里奈、それに知らない女の子。
いつも冷静な僕らのトップ、
その蓮が、動揺していることも。
その全てに僕らは目を張った。