元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「……、」
麗華の元を離れてから約2時間。
私はまた、逃げてきた倉庫の近くまで戻ってきた。
倉庫は数十メートル先にある。
もう見えている、のに。
「……っ、」
決意したのに。
情けないことに足が竦む。震えて、動けない。
逃げてきたのに。めぐるからも、蓮からも。
本当のことを聞いている間に耐えられなくて。
現実を受け止めきれなくて、まだ、私は立ち止まっている。
「……っ怖いよ、麗華…」
制服のブラウスの胸元らへんを握り締める。
震える指先を隠すように、強く強く。ギュッ、と。