元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー





私はここで立ち止まったままでいいの?




「……っ、」




言われなくてももう、わかっているはず。




ぐいっと服の袖で涙を拭い、口を結ぶ。





「……っ待ってて、みんな…」





小さく、呟く。


これは小さな私の意地と、決意。






ーーー麗華。




私に、前に進む勇気を頂戴。








「…………、」





すうっ、と深く呼吸をして。





そして、真っ直ぐと倉庫を捉えた瞳に、もう揺らぎは無かった。




























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