元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
頭の中では、あの子の泣きそうな顔と麻里奈が笑った顔、両方がぐちゃぐちゃに交じっていて何がなんだか分からなくなる。
「慧…、お前ホントに大丈夫か?」
渉が怪訝そうな顔をする。
でも、今の俺には渉の声なんて聞こえない。
頭の中で、今起きている現状を整理するのでいっぱいなんだ。
「おいっ、慧!!!」
痺れを切らしたのか、渉が僕の両肩を持ち揺らしてくる。
_ハッ
「ご、めん…」
なんだか今日は、謝ってばかりだ。
これで二度目。
皆の前だというのに。
しっかり、しなきゃなあ…