元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
とある一人の少女が門を潜ると、悲鳴が消えコソコソと愚痴が始まる。
「うわっ…きたよ、柊さん。」
「良く学校来れるよねぇ。」
「ホント!神経図太過ぎじゃない?」
「来龍の麻里奈さんに手を出しといて!」
陰口を言われていること、憎しみが込められた瞳で睨まれていることを
少女は気付いている。
気付いている上で、何も言わない。
否、”言えない”。
「…麻里奈、大丈夫か?」
少女が来てすぐに、渉が麻里奈に声をかける。
「……。」
「麻里奈?」
「…あっ、う、うん。大丈夫」
蓮が心配そうにする中、彼女は彼らに気付かれないよう、
静かに、
静かに、
笑っていた