うっかり持ってきちゃいました
「フィル!アレ何あれ何きゃー!」
「リコ!お前っ、ちょっとペース落とせコラ」
「おおおすげえ妖精さんだ!アレ欲しい買って買って」
「バカお前売りもんじゃねえよ」
「じゃあこれこれ!」
「……お前の金遣いの荒さじゃあ、幾らあっても足りねえ」
「え?魔法でお金をばばんと増やすんでしょ」
「出来ないから!出来ても犯罪なの!ここ魔法大国でそんなことしたらすぐバレるから!」
「役立たず」
「ううっ!」

 散々フィルを振り回して。遊び倒して。
 彼とお師匠様の家に帰り着いたのは夕方だった。
 ちゃっかりフィルの作った夕ご飯までご相伴に預かって、お師匠様にこっちの世界のカードゲームを教えてもらっていたら、いつの間にか夜が更けていた。

「君の為に部屋空けときましたから、どうぞー」

 お師匠様の笑顔に私もにっこり返して。

「ありがとう!フィル君が夜這いしないように見張っててね、お師匠様!」

 そう言い放ったら、彼は私を真っ赤な顔で怒鳴りつけた。

「お前みたいな色気皆無に、なんかするかバカ!」
「えーフィル君てばイケメンなのにヘタレね。私フィル君なら良いかもって思ったのになー」

 ねーとお師匠様と首を傾げて同調し合えば、フィルは真っ赤な顔のまま絶句した。

「っ、ば、バカじゃねえの、おま」
「おやすみー」
「聞けぇぇ!」

 あははは、可愛いなあ、フィル君は。
 ちょっと好きになっちゃうかもしんない。
 そんなこと言ったらまた怒られそうだけど。
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