Crazy Band 4U
ゴツン、等という生易しい擬音ではない。
ガチッ、という骨まで響く垂直落下式の拳。

「痛ぇッ!!??」何が起こったか分からない柳楽は、周囲を見渡す。肩まである茶髪に近い黒髪を掻き上げながら、寅の方向へ向く。

「手前かっ!?俺の安眠を邪魔するのは!!??」
「寝てるアンタが悪いんでしょうがッ!!!!……全く、盗人猛々しいとはこのコトよッ!!」
また拳を振り上げ……
「ちょっ、タンマッ!!もう無理!」
そして教室の後ろにあったベースギターを肩に掛け、荷物は其なりに、教室から出ていった。

その場に残ったのは金川と委員長。その二人も直ぐに教室を施錠し、カツカツ、と軽快な足音をたて、かえって行った。
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