幕末カレシ~新撰組に飼われた蝶~
町に着いてからまず目に付いた小物屋を覗く。
そこには色とりどりの簪が並べてあった。
水色の飴細工のような可愛らしい簪
白の美しい花が印象的な大人っぽい簪
沢山の綺麗な簪に目をひかれる
「鈴音、これ、鈴音に似合うと思うんだけど」
「わあ...!」
原田さんが見せてくれたのは桜の花の可愛らしい簪。
薄い桃色のその桜の花にまるで雨粒のように見える透明の小さな小さなガラス細工が控えめにいくつかのって、光に反射してキラキラと輝いている。
見た瞬間私はその簪に心を奪われた
「素敵...!」
「でしよ?それじゃあコレにしようか」
「...?...あっ、原田さん、私が自分で払いますから!」
簪を店主のところへ持っていき、懐からお金を出した原田さんをみて、慌てて駆け寄る。
「んー?女の子にお金を出させる訳ないでしょ?それに、もう払っちゃったしー?」
「でも...」
クスクスと色気のある笑みを浮かべる原田さんに申し訳ない気持ちになる。
「お金の代わりにさ、この簪、ずっと大事にしてくれる?」
「...もちろんです!ずっとずっと大事にします!でも...買ってもらっちゃって、すみません」
「ありがとうって言ってくれた方が嬉しいな?」
「あ、有難うございます!」
「どういたしまして」
原田さんに心から感謝し、さっそく簪をつけようとする
「あ、俺がつけてやるよ」
そう言って原田さんは手際よく私の結った髪に簪をつけてくれた。