幕末カレシ~新撰組に飼われた蝶~
しかしそんなことは関係ない。
彼女を…鈴音を救わなければ
「チッ、それがどうしたぁ!邪魔なんだよ!!糞が!!」
殺気を込めて振り返りながら刀を振る。
それに怯んだのか、油断していたのか、時雨は目を一瞬大きく見開き、膝から崩れ落ちる
「な…っ…」
背中からは暖かい自分の血が流れ出す
しかし関係無く走る。
「そこの赤髪!鈴音を返さなければ今すぐ殺すぞ」
「ふーん…おい夜斗!ほかの奴等に撤退命令だせ」
「はぁ?火影 ホカゲ、お前…チッ」
どうやら赤髪は火影という名らしい
「ほらよ、お前らのお姫さんだ」
火影は気を失っている鈴音を大事そうに手渡してきた
目を閉じている鈴音を抱き締める。
「お前…」
「俺ね、あんま闘うの好きじゃないから。時雨もやられたし、お前なかなかやるね…家茂様にはなんとか言っといてやるよ」
「そうか…」
火影は金色の瞳を細めて笑う
信用していい奴なのか分からない。眉をひそめながらも返事を返した。
それじゃあ、そう言って火影達は闇に紛れて消えていった。
【土方side 終】