幕末カレシ~新撰組に飼われた蝶~
ーーー…
着いたのは島原の近くの大きな桜の木。
ここは…
「俺達が出会った場所だ」
「ここで…土方さん達に助けられたんですよね」
眩しそうに目を細め、桜を見上げる。
「ああ…」
「あの時は、よく見れなかったけど、とてもキレイですね…」
「ああ…来年も、一緒に来よう」
「…っ、はい!」
「いつか…俺達の子供も連れてきてぇな?」
土方さんは大人びた綺麗な顔をこちらに向け、意地悪そうに微笑んだ。
「それって…えっ、どういう…」
真っ赤になる私を土方さんは抱きかかえて笑う。
「そのまんまの意味だ。…鈴音」
「もう!土方さ…歳三さん。」
抱きかかえたまま、唇を寄せる。
春風がザアッと吹いて、まるで2人の幸せを願うかのように、桜の花びらが舞い踊った。