幕末カレシ~新撰組に飼われた蝶~
大袈裟に自分の肩がビクッと揺れた
「まさか、お客さん、あの後ずっと私が外に出てくるの待ってはりました...?」
震える声を必死に隠しながら問う
「当たり前だ。ずっと、ずっと待ってた。俺の鈴...」
「そ...んな、なんで...」
ーーージリッ
と男は一歩ずつ私に向かってくる
それに対して私は一歩ずつ、一歩ずつ震える足で下がる
「俺は鈴をずっと見てきた。」
そう言って男は笑顔で手を差し出す
「っ...やぁ...」
今日、人生で初めて感じる心の底からの嫌な予感。
怖い...逃げなきゃ...!
そう判断した私は男に背を向けて走り出す。
「...!鈴!!!ああ、待ってくれ!」
背後で男の声が追いかけてくる