幕末カレシ~新撰組に飼われた蝶~
「綺麗な色…」
藍色の内掛けの脚部分には金色の桜の花が咲き誇っている
帯は山吹色と朱色。
「実はねこれ、鈴ちゃんをとても気に入ってくださってた呉服屋の麟太郎さん。その人が染職人の方に頼んで作ってもらったらしいの」
ほら、着てみて、と催促されておずおずと袖を通す。
布や帯がスルスルとこすれる音が部屋に響く
「…とっても似合う。鈴ちゃんのこの簪ともよぉ合いますえ。」
「ありがとうございます…」
2人向き合って微笑み合う。
「皆はんに見せに行きましょう。今日は新撰組だけにいい女としての腕を魅せてあげましょう」
ガヤガヤと聞きなれた声が聞こえてくる部屋の襖が開いた。