教室で愛を叫ぶ
軽くため息をつきながら、教室の扉の前で立ち止まる。
朝から大泣きしてしまって、目が腫れて痛い。
腫れを冷やして化粧で誤魔化せば、昼休みを過ぎた5時間目に登校して来てしまった。
休めばよかったなんて思いつつも、中の様子を覗くとまさかの愛しの先生が授業をしていた。
もう一度ため息を吐き捨て、ズルズルと廊下に座り込む。
昨日の誘惑のこともあり、教室に入りづらい。
「…………めんど」
ぼーっと座り込んでいると、隣のクラスのドアがあいた。
普通に驚く。
そこから出てきたのは…。
「…おい、さぼりか?」
社会科の先生だった。
まぁそれなりに若く、愛しの先生ほどではないけど整っている顔。
「さぼりでーすぅ」
顔をしかめる先生にニコッと笑いかけると、少しだけ先生の顔がゆるんだ。
「そ、そうか……」
そうかって何。
「まぁさぼりなんて黙っててください」
口に人差し指を当ててシーっとすると、ついに先生のしかめっ面が崩れた。
ちょろい。
「は、早く教室に入りなさい!」
全くもって引き締まっていない顔のまま先生は足早に去って行った。
………高校生でも、大人でも。
ちょっと笑うだけでみんなへらへらするのに___愛しい先生は怖い表情のまま。
でも、たまに照れるところが半端なくツボだ。
先生の照れたとこを思い出して少しにやける。