教室で愛を叫ぶ
キーンコーンカーンコーン
それからしばらくの時間がたち、和気あいあいと進めていた授業に終わりの鐘が鳴った。
「きりーつ、れいっ!」
心なしか他の先生の授業よりも大きな声の委員長。
ちなみに女だ。
はぁ、と今日何度目か分からないため息をついて私も立ち上がった。
ガタガタとそれぞれがうるさい音を立てて座ったり、どこかに歩き出したり動き出した。
私はただ突っ立っているだけ。
…………保健室にでもサボりに行こうかな、と思った時。
「遠藤、これ数学準備室まで運べ」
先生の声が目の前から聞こえて、勢いよく顔を上げる。
そこには口に薄く笑みを浮かべている先生と、大量の回収物。
一瞬「げ」と呟いてしまう。
そんな重い物を女子生徒に運ばせる教師ってありなの。
一瞬ためらったものの、勢いよく頷いた。
「ダーリンのためならお安い御用っ!」
他の先生なら即却下だけど、先生のお願いなら仕方ない。
「じゃ、それもってついて来て」
先生はそう言ってワークをごっそりと持ち上げた。
………………あれ?
私に運べって言ってなかったっけ?
疑問が浮かび先生を見ると、私の考えを察したのか教卓に視線を向けた。
そこにはプリントの少し分厚い束が重ねられていた。
…………え、これって私が運ぶ必要ある?
そんなことを思いながらも、戸惑いながらそのプリントを抱え、既に教室を出てしまった先生を追った。
視界の隅で、ニヤニヤしている私の親友が映った。