教室で愛を叫ぶ
人がぞろぞろと出てきた廊下で先生とはぐれないように、小走りで横に並ぶ。
「先生っ、これ私が運ぶ必要あった?」
手元に抱えたプリントをチラリとみる。
すると先生はあきれながら微かに笑った。
「こっち持ってみるか?こんな重い物持って、ばらばらと落ちそうなプリント持てるほど器用じゃねーよ」
なるほど、と頷きながらも内心は先生にドキドキだ。
背の高い先生をチラリと見上げると、気ダルそうな顔をしている先生。
どんな顔でも私のドツボにハマるので、さらに心拍数が上昇した。
下っていた階段を降りきり、数学準備室のある北校舎への渡り廊下を渡る。
私が通っている学校は、一年から三年までの教室が本館にあり、特別教室や各教科の準備室などは北館や南館に置かれている。
今から行く北館は人が少なく、一部では心霊現象が怒っていると言われているほど立地的にも薄暗い。
まぁその噂は多少は怖いけど、真昼間でまだ日が差しているうちは平気だ。
先生の横で何の迷いもなく足を進めた。