教室で愛を叫ぶ
あーぁ。なんて思いながらも、自分の席に座る。
ちなみに一番前だ。
先生のことを一番近くで見える席。
言わずと知れた、席替えでも絶対に譲らない私の特等席。
ガーッと椅子を引いて、座った。
そのままスクバを床に置き、授業の用意なんてせずに頬杖をつき先生を見つめる。
なんかよく分からない数式をズラーっと黒板に書いている数学教師。
理系ってことが、さらに先生をかっこよく見せる。
そのままジーッと先生を見つめ続ければ、後ろからトントンと肩を叩かれる。
「美海(みみ)、これ」
後ろを振り返るとルーズリーフを折った手紙を手に持つ、夏穂(かほ)がいた。
「ありがとー」
その手紙を受け取り、前を向く。
手紙を開くと……。
“今日も気合い入ってんね♡美魅のくせに可愛いじゃん(笑)by美海の愛しの夏穂♡”
なんとも綺麗な字で、なんとも微笑ましい内容が書かれていた。
夏穂は私のことが大好きの親友。
すんごい仲がいい。
そして夏穂は、私をよくからかってくる。
私の名前“美海”を“耳”やら“美魅”なんて言ってくるのは夏穂だけだ。
美魅は、美しすぎるほど魅力的という意味らしい。
もちろん命名は夏穂である。
いやー、照れるなぁー。なんて思いながら、スクバから筆箱とルーズリーフを取り出して、手紙の返事を書く。
“でしょ?さすが美海でしょ♡でも夏穂もいつもと変わらず可愛すぎるよー♡あと、美海は美海ね!美魅なんかじゃないよ!笑by先生大好きの美海←照れるぅ”
と、書き終わったところで。
不意に、視線を感じた。