散る頃に咲く花

「ありがとうございます。沖田様」

青葉は振り返らずに言った。

「あれ、今日はその喋り方なの?」

「部屋以外だと、誰に聞かれているか分かりませんから」

沖田はふ~ん、と頷く。

「君の笑い方、奥沢君が言うとおり、嘘っぽいね。本当に」

「嘘の笑顔ですもの。そうでしょうね」

青葉は立ち上がり、沖田を振り返る。

その瞬間沖田は言った。

「ねぇ、聞きたい?奥沢君の最後」

「え?」

青葉は驚いた。

目の前の男は何を急に言い出すのだろう。

「池田屋事件という事件で死んだと聞きましたが?」

確か、江戸にいる時にきた、近藤からの手紙に書いてあった。
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