散る頃に咲く花

裏口から逃げようとした奴だった。

そいつは、死に物狂いで裏口を固めていた三人に襲いかかった。

僕は、見ていることしか出来なかった。

いつもの僕なら屋根から飛び降りてでも三人を助けただろう。

けどその日は、意識を保っているのがやっとで、立つのがやっとで。

三人が死んでいくのを、ただ、見ていたんだ。

助けたかった。

どうしても助けたかった。

けど、その時の僕には出来なかった。

その時実感したよ。

僕は、なんて無力なんだろうって。
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