散る頃に咲く花

青葉はそこで、栄助の死がどういうことなのかを理解した。

もう、二度と会えないのだ。

話すことが出来ないのだ。

顔を合わせて笑いあう事も出来ないのだ。

もう二度と、あの暖かい腕で抱き締めてもらえないのだ。

「栄さん……」

青葉はもう一度、栄助の名を呟いた。

それでも栄助にまた会いたいと思ってしまうの


抱き締めて、欲しいのだ。

青葉は笑おうとした。

「栄さん、私は今、笑えていますか?」

そして、答えの出てくるはずのない問い掛けを、一人呟いた。

「いつか笑えるようになるよ」
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