散る頃に咲く花
誰かが青葉の後ろで言った。
振り返らなくても分かる。
「沖田様」
青葉は何故か安心した。
この声は、心が安らぐ。
けど今は、
「きっと無理です。私は今まで栄さんのために笑おうとしてきました。そして笑うことが出来ました。けどきっと、それが最初で最後です」
沖田は何も言わない。
ただ、青葉を後ろから抱き締めた。
「なにをするんですっ!離して!」
けれど前の時のように離れない。
「何故、何故こんなことをするんですか?前も」
「だって、君がいなくなっちゃう気がして。馬鹿みたいだよね。こうでもしなきゃ、君がどこかに消えてしまう気がして」
消え入りそうな声で、沖田は言う。