散る頃に咲く花
「そんな事ありません!」
青葉は声を張り上げた。
さっきの弱そうな沖田様はどこに行ってしまったのかしら。
またからかってくる。
本当に、分からない人。
けど、少しだけ、本当に少しだけど、腕の中で落ち着いている私がいた。
きっと、栄さんに似ているからね。
きっとそうよ。
沖田様に胸が高鳴るなんてこと、ある訳、ないもの。
青葉はそれで自分を納得させた。
「私、戻ります!」
青葉は身を翻した。
「じゃあ、僕も戻ろう」
「もう少し此処にいてください!」
「なんでさ」
「なんでって……」
言えるわけない。
沖田様の顔を見ると、胸が高鳴るだなんて。
__________言えるわけない。