散る頃に咲く花

「西本願寺だと!?」

ある日、土方の声が屯所に響き渡った。

お茶出しをしていた青葉も驚いた。

「西本願寺は長州贔屓の坊主たちがいます。そこに私達が行けば、長州封じにもなるし、私達の屯所が見つかるし、一石二鳥ではありませんか?」

伊東が尤もらしいことを言う。

筋が通っているので、誰も言い返せない。

青葉は伊東の前にお茶を置いた。

「ありがとうございます」

険悪な雰囲気だというのに、伊東は笑みを浮かべ青葉に礼を言った。

「私はこれで失礼致します」

青葉はその部屋を去った。
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