散る頃に咲く花

「あれ?あの人、山南さんじゃない?」

買い物を終えて、屯所に戻るときに沖田が言った。

青葉もその方向を見てみた。

「確かに、山南様に見えます。一緒にいるのって、恋人?」

確かに山南がいるのだが、美しい女と一緒にいる。 

見るからに遊女だと分かる、高そうな着物を身に付けている。

「確か、明里さん、だったよね」

「はい」

青葉が頷くと沖田にやりと笑った。

「近づいてみようか」
< 138 / 338 >

この作品をシェア

pagetop