散る頃に咲く花

「そんなことしたら、山南様に怒られますよ」

青葉は屯所に戻ろうとした。

「だって山南さんが夢中になるような女の人だよ?気にならない?」

沖田は笑みを口に湛えたまま言う。

「それは、気になりますが。山南様に失礼でしょう」

と、青葉が言っているうちに沖田は二人に近づいている。

仕方ないなと諦め、青葉も沖田の後についていったのだった。

「山南はん、明日も来てくれはる?」

透き通るような、美しい声。

「勿論だよ明里。必ず明日もくるから」

山南に心から嬉しそうに笑っている。

「本当に、明里さんのことが好きなのですね」

青葉は呟かずにはいられなかった。
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