散る頃に咲く花

「なんか、発音がうちに似てるな思て。違うてたら堪忍どす」

控え目に言う明里は、本当に可愛いと思う。

「いや、彼女は江戸出身だよ」

山南は明里に優しく諭す。

そうか、私の過去は沖田様しか知らないのでしたね。

青葉は心の中で思った。

「あ、やっぱりそうどすよね。ほんま、すんまへん」

明里は、慌てて頭を下げる。

「いいんですよ。私、十五まで京に住んでいたんです。やはり、京の人からは分かるのですね」

驚いたのは山南だった。

「城崎さん、京に住んでいたのですか。初めて聞きました」

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