散る頃に咲く花

「なぁ山南さん。もう一度脱走してくれねぇか?俺はあんたに死んでほしくねぇんだ。もったいねぇよ!山南さんが死んじまうなんて!」

山南に、最後のお茶を出している時、部屋に入ってきたのは永倉だった。

意外な事に、山南と永倉はとても仲が良いらしい。

しかし、永倉の必死な言葉にも、山南は首を振った。

「私は武士として、切腹するつもりです。脱走したのも、もしかしたら誰かに構って欲しかったのかもしれませんね。我ながら子供っぽい発想ですよ」

「どうして、どうして笑っていられるのですか?」

黙って話を聞いていた青葉だったが、口を挟んでしまった。
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