散る頃に咲く花

それから食事が終わり、それぞれが自分の部屋に戻っていった。

青葉は近藤に呼ばれ、明日からの女中の仕事のあれこれを伝えられた。

「今日は急用で屯所の案内が出来ずにすまなかったな。では、明日から宜しく頼むな」

そうして出て行こうとする近藤に、青葉はあることを聞いた。

青葉がそれを聞いたとき、近藤は少し哀れむような顔をし、「あること」を教えてくれた。

「本当に申し訳なかった」

近藤が謝るので、青葉は首を振った。

「近藤様、謝らないでください。彼は、短い間だけでもあなたに尽くすことができて、幸せだったと思います」

そして少し悲しそうな顔をし、

「彼はもう戻ってこないのですから」

と呟いた。

そして青葉を見つめる近藤に一礼して、自分の部屋に戻ったのだった。
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