散る頃に咲く花
「俺、明里さん連れてくる!」
永倉はそう言うと、駆けだしてしまった。
「永倉様!」
青葉も小走りで永倉を追う。
しかし、どんどん距離は離れてしまう。
「必ず、間に合ってください!」
青葉は追うのをやめ、そう叫んだ。
「おう!」
永倉の頼もしい声が、遠くから聞こえた。
青葉はもう一度山南の部屋に向かった。
隙間から覗くと、山南は膝に手を置き、俯いていた。
青葉は声をかけることはしなかった。