散る頃に咲く花

「髪紐、僕が前に買ってあげたやつ付けてくれてないんだ」

「?はい。これは大切なものなので、昔から付けているんどす。何故今それを?」

青葉は首をかしげた。

「大切、か。それ僕があげたやつなんだけど」

「…‥…は?」

青葉はこの人が何を言っているのかと思った。

「それさ、二年前に江戸で貰わなかった?」

「何故それを!」

青葉は驚いた。

この紐は二年前に、ある男の子に江戸で貰ったのだ。

あれは確か、江戸に来て少ししたころ、栄助に江戸の街を案内してもらった時のことだ。
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