散る頃に咲く花

『栄さん。栄さんどこ?』

青葉は迷子になってしまっていた。

人に流されてしまったのだ。

人が多すぎる。

これでは栄助を探すに探せない。

青葉はとりあえずその場で栄助が来るのを待つことにした。

そんなときだ、

『どうしたの?』

という声がかけられたのは。

青葉より少し年上の男の子だった。

『一緒に来た人とはぐれたんどす。けどきっと見つけてもらえるから大事おへん』

青葉は京の言葉が嫌だったので、小声で答えた。

『そっか、じゃあ、一緒に待っててあげるよ』

その男の子は青葉の隣に並んだ。
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